茲に萬善維馨禅尼は 宗家三輪氏6代の主多仲翁の子女に生まれ 其の名をキシと称す 長ずるに及んで山田杢左衛門に嫁す 凡そ5年にして夫の喪に逢い
実家に復縁す 後に 徳昌26世古範和尚の禅室に投じ 薙髪して尼となる
折しも 師の古範和尚大蔵経請来の意有るを知り 之が助縁の為め単身東都に遊んで専ら行乞を修す 時に漸く寒天の節 良寛和尚禅尼が心操を敬歎し 遥かに其の労苦を偲び
表記の詩文を題して是に贈る
此に先哲の道情を憶い 其の壮行を留め度く 先年良寛和尚遷化150年の記念事業として 普ねく江湖の芳志に依て爛葛藤を複刻し 併せて此の詩碑を建立して永く其の徳を表せんとす
法号 徳充軒萬善維馨禅尼 文政5年2月8日円寂
世寿58歳
昭和58年7月上浣
与板町良寛会
徳昌三十七世省順謹書
爛葛藤複刊委員会